だから言ったじゃない、腰椎圧迫骨折(70代 女性)
骨折はレントゲンで判断出るはずの怪我ですが、たまに病院でも見逃されることがあります。
来院する10日ほど前から腰~右尻~右ふくらばぎが痛いという女性でした。場所の特徴から坐骨神経痛の痛みということはすぐに分かります。しかし、坐骨神経痛は疾患名ではありません。何が原因で痛みが出ているかで施術方法が違います。
市内の(行きつけの)整形外科での診断は筋肉系が原因と判断したようで、レントゲンも撮らず、筋肉を和らげる注射を数回したそうです。しかし「何も変わらない。効果ない」と言うことで、当院にお出でになったという経過です。
筋肉系の坐骨神経痛では、梨状筋症候群があります。梨状筋というお尻近くの筋肉が固くなって、神経を圧迫してしまうものです。この場合は、病院での注射で(一時的に)効果がでることが多いようです。
あと多いのは腰椎ヘルニアや椎間板の劣化、または腰椎のねじれによる神経圧迫です。他に重症の部類に入る脊柱菅狭窄症があります。
この方の場合、筋肉を和らげる注射をしても全然効果がない、ということですから、まず椎間板系の症状を疑うのが定石です。脊柱菅狭窄症の場合は、当院での施術でも効果が出にくい(実感しにくい)ことがあります。
さて、初回は施術中はほとんど痛みがなく、わりと軽症かも? と思ったのですが、施術後に起きる動作で痛いし、起きてからも痛みが出ます。関節のズレの痛みとも違うようです。印象としては施術前と変わりません。このときは原因をすぐに判断できませんでした。
ほとんどの場合で、施術中または施術後に効果を実感できるのが当院の特徴ですが、この方のように施術の効果が見えないのは、診断があっていないからでしょう。
初回は金曜日でしたが、翌週月曜に再予約されています。次もこのまま同じ施術をしてもダメそうなのは分かりますが、それではいけません。仕事終わりにもいろいろ考えていたら、圧迫骨折の特徴に似ていることに気が付きました。転倒しての骨折は程度も大きく、レントゲンですぐに分かります。しかし、高齢者の場合、普通の生活をしていても圧迫骨折をすることがあり、その場合は骨折部分も小さいのでレントゲンでも見落としやすいのです。
この場合は当院での施術も残念ながら効果ありません。早めに病院で骨を丈夫にする処置をしなくてはいけません。すぐに翌日(土曜)の朝に本人に電話して、「圧迫骨折の疑いがあるから、早めにレントゲンを撮ってもらってください」と伝えました。午後になって電話連絡があり、「いつも行っている整形外科でレントゲンを撮ってもらったけど、骨には異常がないって言われました」とのこと。う~ん、そんなはずは無い。
病院を変えて検査したら圧迫骨折が判明したというケースも度々あります。そこで、別の病院で早めに検査してもらってくださいと伝えました。
一般的に手術もできるような大きな病院では、通常の予約では半年待ちということはザラにあります。検査したくてもなかなか受診できないのも悩みのタネです。少しでも痛みが和らげばと、週明けの月曜に2度目の施術に来院されました。でも施術後の痛みは同じです。なので、MRI検査ができて、ある程度信頼できる病院はないか、と患者さんと相談しました。
本人が新潟市内の病院の内科系で定期受診をしているということで、そちらから同病院の整形外科を紹介してもらうということになりました。
数日後、その病院での検査結果について電話をいただきました。そこでの診断では「脊柱菅狭窄症かもしれない」。しかし不明な点もあったのでしょう、一週間後に再検査するということでした。
それからしばらく結果報告の連絡もなく、気になっていました。手術になった? 元気になった?
そのうち人づてに、今は杖をついてやっと歩いているらしいという情報も入ってきました。そこで思い切って本人に電話して聞いてみることに。
すると、
「MRI検査の結果、腰椎第4の圧迫骨折が見つかって、週イチで通院して骨を丈夫にする注射を打っています」とのこと。やっぱり、ですね。少し遠回りしましたが、圧迫骨折と判明して良かったです。大丈夫、時間はかかりますが治ると思います。一日も早い回復をお祈りしています。