肋骨にヒビ(80代 女性)

 親戚を含めた一族で、当院に信頼を寄せていただいているお宅の娘さんからLINEで、「母が肋骨にヒビが入って痛そうだけど、そちらで痛みを緩和できますか?」という相談をいただきました。
 ということで4年ぶりの来院です。高齢のこともあり、近年は歩くのもなかなか大変なのに、肋骨骨折ということで、かなり痛そうに施術室に入ってこられました。
 整形外科でレントゲンを撮っての診断でしたが、痛み止めもコルセットも処方されず、「デイサービスでも海外旅行でもどこでも行っていいよ」と言われたとか。まあ、治療法がなく自然に治るのを待つしかないとはいえ、息をするのも痛いのに旅行なんてできるはずもありませんけどね。

 仰臥位で施術するのが基本ですが、普段でも寝起きに時間がかかるなど動作が大変な方なので、施術台に腰を掛けた状態でやることにしました。
 今回のような場合、肋骨に触れることが必要ですが、この方は肉付きが良いうえに少し前傾して座っているのでちょっとやりにくいです。骨折の場所や方向を想像しながら施術しますが、時々顔をしかめて「痛い」と声がでます。折れている部分が密着してくれば痛みは治まってくるのですが、落ち着いた感じのときに「息を吸ってみてください」とお願いすると、ほんの少し吸っただけで「痛い」と顔をしかめます。いろいろ角度を変えてやってみますが、ちょっとうまくいかない感じです。そこで、もう一度怪我をした時の状況を思い出しながら、どう折れているか頭の中で整理しました。
 すると、今まで思っていた逆の方向かもと思い、それを意識してやってみたら何やら良さげです。息を吸ってもらっても痛みが出ません。施術を続けるとだんだん表情も明るくなり、世間話をしながら結構身体も揺らします。娘さんが「何か良いみたいね」と言うと、「楽になってきたわ」と。良かった。私も一安心。
 骨が密着していれば痛みも軽減するし、自然治癒のスピードも上がります。まずはこれで、様子を見てください。

 

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