山田先生がご健在だったころ

 肉離れの症例報告で、重症度の区分に間違いがあっても悪いので、ちょっとググってみました。単純に「肉離れ」で。
 すると、おそらく広告なのか、トップに上がっている整形外科のサイトが気になったのでクリックしました。神奈川県の鶴見にある『からさわ整形外科クリニック』です。
 知りたい情報を探していると、治療法の記事に興味深い記述を見つけました。肉離れは筋肉の断裂であるから、
≪基本的には切り傷や裂傷と同じなのです。切り傷が出来た場合は、そのまま放置しておくよりも、切れた箇所の皮膚を寄せ合い、固定しておく方が早くくっ付いて治癒していきます。≫
 そう、そうなんですよ。整形外科のページでこんなことを述べているなんてと、ちょっと驚きました。
 これは正に、故・山田先生が考案した肉離れの施術法の、肝となる理論です。(医学も分かってきたんだなあ)と感心しながら、さらにスクロールしていくと、もっと気になる文言が。
 ≪当クリニックでは補完療法として日本とドイツで開発された“ゆらし療法”を用いて、肉離れの早期回復に多くの実績を持っています。(自費診療となります)≫

 確かに、自然形体でも≪揺らす≫施術は基本の中のひとつですが、ここまで似てる? と思ったわけです。
 ここで気が付きました。(あ、松永先生だな)と。病院のホームページは整形外科ですが、≪ゆらし療法≫という名の自由診療とタイアップしていたんですね。これは画期的です。これが理想形です。
 整形外科のMRIなどの精密な検査に、自然形体療法のような実績のある手技療法が加われば、鬼に金棒です。私も夢見る、病院内での施術です。
 クリニックのHP内で、≪ゆらし療法≫創始者と紹介されている松永光司先生は、私が公務員時代、山田先生の弟子になり、研修会に出始めたころにはすでに自然形体療法を勉強されていました。
 その後、自然形体療法本部を脱退し、独自路線を歩み始めたわけですが、最新のYouTubeにアップされたPR動画を見る限り、自然形体療法そのものですね。
 以前から海外で講習会を開催し、ご活躍されていることは知っていましたが、しばらく見ないうちに、どんどん進化・発展されているようです。
 山田先生の悲願であり、ついに叶わなかった世界進出の夢。
 山田先生がご健在のころ、研修会で遺言のように話されていた言葉があります。
 「私は自然形体という名前にはこだわっていない。私が死んだあと、たとえ施術法の名前が違うものになっても、私が編み出した手法(手技)が受け継がれ、それが多くの人の苦しみを救ってくれたら本望だ」
と。
 だから、これでいいんです。松永先生のプロフィーにも、山田先生の名前こそ見当たりませんが、≪自分自身を救ってくれた先生を師とし、手技療法を学び≫とあります。自然療法を学んだともあります。恩を忘れていないようなので嬉しいです。
 松永先生のおかげで、山田先生の思いと技術は世界に広まりつつあります。テニスの全仏オープンに出た選手も自然形体療法の恩恵を受けたようです。これは素晴らしいことです。
 松永先生のような経営戦略・手腕が、早くから自然形体療法本部にも備わっていたら、国内でも最もメジャーな手技療法として広まっていたのではと思うと、ちょっと残念です。
 また、松永先生のほかにも、山田先生のご健在のころに本部を脱退した先生方の多くは、創始者を名乗っています。それは自由で構わないことですが、いずれはねぇ、どこかでねぇ……≪山田洋≫の名前が出たら嬉しいなぁぁぁ。