突然死に思うこと

 週明けに衝撃的な知らせが届きました。従姉妹の旦那さんが日曜の夜に心臓の痛みを覚え、数時間後に無くなってしまいました。享年56歳。救急隊員が懸命に心臓マッサージをするも、搬送先が決まったときには心肺停止の状態だったそうです。
 奥さん(従姉妹)の話では、心臓に関して今まで不調を訴えたことはなく、服用している薬もないほど、持病もなかったそうです。自宅での死亡ということで、搬送先の病院でも検死されたそうですが、内臓ほかどこにも異常は見つからなかったといいます。死因はおそらく心筋梗塞であっただろう、という診断でした。
 特にその日は二人で一日中外出するほど元気でした。ところが夕食後に突然強烈な心臓の痛みを訴えます。そして本人が「すぐに救急車を呼んでくれ」と言って、すぐに会社の同僚にも電話。「これから救急搬送されるけど、もう駄目かもしれない。後はよろしく」と告げたそうです。奥さんが心配して身体を擦ろうとすると、「触ると痛いからやめてくれ」と言うほどの激しい痛み。
 結局、病院で死亡が確認され、無言の帰宅となったのが月曜深夜2時頃のことでした。

 従兄弟の旦那さんと言っても、普段からの付き合いはなく、それこそ親族の葬儀などで見かけて挨拶する程度ですが、さっぱりした性格で気を使わなくて良い方でした。
 今まで、私の周辺でも心筋梗塞の持病を持った方は患者さん以外でも何人かいらっしゃいました。発作に備えてニトログリセリンを持参している方もいらっしゃいました。心筋梗塞の傾向があると言われていなくても、「ときどき心臓が痛い」と言う方も何人かいらっしゃいました。その方たちは皆、程度の差こそあれ、悪化しないよう長く付き合っている感じでした。
 それが、今回は(おそらく)初めての心臓の痛みが、あっという間に死に行き着くなんて、とても信じられません。
 日常的に飲酒はほとんどしないけど、ヘビースモーカーではありました。数年前に家を新築。一昨年、私の父の用事で家を訪問した際、システムキッチンの換気扇の下でタバコを吸う姿が目に焼き付いています。もちろん、喫煙は健康の大敵ですが、それが大きく関係しているとも思えません。

 私の妻は、「もし、あなたがこんなことになったら、とても耐えられない」と殊勝なことを言っていましたが、いやいや、俺より自分を心配しろと言いました。日頃から体調不良を頻繁に起こし、私の施術でもっているようなもの。
 私はいたって健康です。
 健康です、と言っても、今回のようなことがあるので、自信=過信にならないようにとは思いますが、それを考慮しても私は健康です。
 自覚症状がないだけでなく、同世代の人よりはるかに身体の歪みはなく、筋肉は柔軟で血行もよく、体温も普通(36.5℃)。よく運動して体力があり、いろいろ勉強して頭も使っているつもりです。ストレスも少なく、解消法もあります。夫婦仲はよく、二人で毎日笑って過ごせています。唯一、不満があるとすれば、便通が毎日快便ではないことぐらいでしょうか。便秘とまではいかない程度ですが。それも、最近は腸活を意識して、整腸剤やりんご酢、蜂蜜、発酵食品などを試し始めているところです。
 なので、私が癌などの病気になったり、突然死するほどの体調不良が訳もなく襲ってくることは全く考えられないのです。私が大病するようなら、それはもう、地球滅亡の危機を迎えたときではないか、とまで思うのです。でももし、私が急逝するようなことがあり、その後にこの記事を見つけた人がいたら、どうぞ笑ってやってください。

 ところで、本題はそこではありません。
 なぜ今回、このようなことになってしまったのか。当院に来院される中高年の方の身体の傾向から少し分析してみたいと思います。多くの方に見られる傾向として次のような点が挙げられます。(主訴と関係なく。また男性に多い)
(1)筋肉が固く柔軟性がない。
(2)そのため、各関節の可動域が狭い。血行が悪い。
(3)頚椎~背骨にねじれがある。
(4)足底が異常に固い。
 どれも大変、悪い状態なのですが、だからといって、痛みや不調などの自覚症状がない、またはあっても気にしていない程度であることがほとんどです。もちろん、上記のことが影響して腰痛や膝痛、内蔵不調、高血圧、アレルギー、心肺機能の不調等々、様々な症状が起きている(起きやすい)のです。しかし、自覚症状が出るまでコンディションの異常に気がついていない方がほとんどのようです。いや、自覚症状が出ても、原因がどこにあるのか気が付かないのす。そして健康診断などで数値以上が指摘されると、身体の点検をせずに、薬に頼ってしまうのです。

 また、過去の臨床例から考えてみると、「心臓が痛い」「心筋梗塞と診断された」「不整脈がある」方に共通する特徴があります。それは胸周り・肩周り(左)の筋肉のこわばりです。胸・肩(左)周りの筋肉には、心臓の働きに非常に関係しているようです。解剖学的?にどうなのかは分かりませんが、その傾向はあると感じています。
 実際に、不整脈や心筋梗塞の症状や心配がある患者さんに、胸・肩(左)周りの施術をすることで、自覚症状がなくなったかたは例はいくつかあります。
 この度の従兄弟の旦那様も、この例に当てはまっていたのではないかなあ、と想像すると、非常に悔しい思いが込み上げてきます。
 皆様も十分ご注意ください。