半月板損傷からの痛みが繰り返す(中1 男子 サッカー)

 半月板は痛みを感じる神経や血管が大部分に無く、損傷があったとしても半月板そのもの痛みはありません。
 また、半月板は健常者を対象にした検査でも2~4割に損傷を認めます(下記参考文献参照)。つまり痛みがないけど半月板は損傷しているということです。
 したがって、膝を痛めていようがいまいが、MRI検査をすると半月板損傷が見つかる可能性は非常に高いのです。痛みはなくても。
◎参考文献:「無症状膝のMRIにおける異常所見の発生頻度」
 上記のレポートは、整形外科医による研究発表です。

 さて、今回のケースは1年前にサッカーで危険なアタックにより右膝を傷めた中学生です(怪我の当時は小学生)。サッカーのアタックだと、十字靭帯を傷めることもあります。十字靭帯と半月板は一部つながっています。有名な大病院では半月板損傷という診断でした。
 通常、手術をするような大きな整形外科では手術を勧めることがほとんどですが、この場合は何もしないで経過観察でした。もしかすると痛みの場所と半月板損傷の場所が違うために、医師も迷ったのかもしれません。あくまでも憶測ですが。
 その後、プレーできるまでには回復し病院からも「治った」とされますが、今でもときどき痛みを感じるそうです。数日前にジャンパー膝で来院した女の子の母親と、今回の中学生の母親が同じ職場だったので、その紹介で来院されました。

 さて、前述の通り半月板には痛みを感じる神経がないので、痛みを発生している原因を考えなければいけません。突発的な怪我の場合、膝関節の捻挫によることもあります。
 その他に関節のズレによるもの、疲労による筋肉の状態によるもの、膝の内外靭帯の横ずれや損傷によるもの等々、様々な原因があります。この原因を追求しないまま、先にMRI検査をしてしまうと、痛みとは関係のない半月板損傷が見つかり、それが原因と断定される場合が多く見られます。

 今回の患者さんの場合は、今現在はプレーしても痛くはないけど、正座できない(曲がらない、痛みがある)ということでした。
 確認のため、施術前に正座をできる範囲でやってもらうと、踵とお尻の間が10センチくらいのところまでしかお尻が下ろせません。この状態では、半月板の状態に関わらず膝に痛みが生じても仕方ないですね。施術により時間を掛けて縮んでしまった筋肉を柔軟な状態にしていきます。当院ではマッサージは行いませんが、強く揉んでしまうとむしろ悪化することがあるので要注意です。
 施術後、もう一度正座をしてもらうと、今度は普通にできるようになりました。これでしばらくは心配ないと思います。

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