手術が必要な半月板損傷という診断(高校一年 男子 陸上)

陸上部で円盤投げの選手です。
半年前から左膝の外側が痛み始め、次第に悪化。電気治療や鍼治療で一時期良くなったこともありますが、次第に悪化し、歩いても痛い状態になりました。
MRI撮影の結果は外側半月板損傷で、手術と半年間のリハビリが必要と言われました。

本人がネットで当院を検索して、手術前にどうしても行ってみたいと電話してきました。
電話をもらった時点である程度、状態や原因を想像してしまうのですが、長引くのか早期に回復するのかは実際に診断してみないと分かりません。
半月板を損傷してもそれ自体の痛みはありませんし、関節内でちぎれたりズレたりして内部を傷つけるという状態も、ほとんどの場合痛みの原因でないことは多くの臨床から分かっていることです。
半月板損傷という診断が出た場合、こちらとしては色んな状況・状態を考えなければいけません。つまり、本当の原因ですね。

さて、治療前の検査の一つに、圧痛があるかどうかを確認します。軽く押しても痛い場合はその部分の筋肉や腱・靭帯等が傷んでいますので、早めに修復しなければいけません。
問診のときには圧痛があると言っていましたので、仰向けの状態で押してみても圧痛が確認できません。
「どこが押すと痛いのかな?」と聞くと、仰向けの状態ではわからない。すると上半身を起こして膝を曲げて押すとすぐに「ここが痛い」と訴えます。
おや?と思い、また膝を伸ばすと圧痛がなくなる。曲げると圧痛が出て来る。ということは……。

圧痛の原因は外側の靭帯の横ずれと、それに伴う繊維の剥離ですね
圧痛を取り、足全体の疲労等を治療して終了です。
立って確認してもらうと、体重をかけても大丈夫です。
練習時のアップで立ったまま大腿部のストレッチをして戻すときにもかなり痛みがあったそうですが……。
「全然痛くありません! スムーズに動きます!」
と嬉しそうに何度も膝を曲げたり伸ばしたり。
普段、患者さんの症状が劇的に改善しても、わりと冷静に対処している私ですが(笑)(^^)
あまり嬉しそうにしているので、つい「おめでとう!」と握手していました。
「ありがとうございます!」と患者さんも握り返してきましたが、軽く握られてもその握力の強そうなこと(笑)

でもまた靭帯の横ずれと剥離が多少は出ると思うので、自己療法を教えて終了としました。
自己療法がうまく出来て、かつ練習後のストレッチを今まで以上に入念にやれば大丈夫でしょう。
もう手術は必要ありませんね。

(『カラダのミカタ』より転載)