スポーツ障害の多くはオーバユース、つまり使いすぎによる疲労が原因です。小中学生の場合、成長痛であると病院で診断されることも多いです。しかし実際には身長が伸びていないのに痛みが出ているケースや、その逆のケースも珍しくありません。
痛みで来院される子供たちの身体は、疲労で筋肉が固く縮んでいたり、疲労が抜けずに身体がパンパンに張っている場合がほとんどです。

固く縮んだ筋肉を無理に強く動かせば、筋肉や靭帯・腱などが無理をして故障に繋がります。近年の傾向として、クラブや部活の練習量が増えているにもかかわらず、運動後のストレッチなどをチームとして省略し、選手個々に任せっきりとなっていることが多くなっているようです。
筋肉は、強く縮んで骨を引っ張ることで関節を動かしていますが、繰り返し強い力で縮んでいると、縮んだ状態で固まりがちです。縮んだものは伸ばしてやらなければいけません。それが静的ストレッチです。
運動前は動かしながら筋肉をほぐしていくダイナミックストレッチが有効ですが、運動後は静かにじっくりと伸ばしてやる静的なストレッチはとても重要です。
太ももの筋肉が伸びないために正座できないとか、ふくらはぎの筋肉が伸びないために踵をついたまましゃがめない、などの状態になっていませんか。

強い運動のやりっ放しは、筋肉・靭帯の故障だけではなく、脊髄にも悪影響を与えます。頚椎・胸椎・腰椎に付着している筋肉が強く縮むことで、椎間板が潰れてしまうケースもあります。特にジムなどでマシンを使った高負荷のウエイトトレーニングは、多くの危険が潜んでいます。
自己流でやるときは特に注意が必要です。
強いウエイトトレーニングをやった後は、筋肉だけでなく頚椎・胸椎。腰椎も伸ばしてやる意識を持ちましょう。

当院での施術例を元に、いくつかの症状について解説します。この他の症例については、「実際の施術例」をご覧ください。

◎オスグット病

膝関節周辺のイラスト

膝の成長痛とも言われていますが、直接的な関係はありません。身長が急激に伸びている時期でも痛くならない場合もあれば、小学校低学年生のように身長があまり伸びていたい時期にでもオスグット病になることがあります。
これは、あくまでもオーバーユース、つまり練習のし過ぎ等で膝蓋靭帯に無理がかかったためです。適切な処置をすれば短期間で改善します。(片膝なら1~3回、両膝なら1~5回の通院が平均的な回数です)
注意点としては、痛い部分のマッサージなどは逆効果です。皮膚の下の痛みで目には見えないけど、傷になっているとイメージしてください。切り傷や打撲で傷んでいる部分を揉む人はいませんね。
また、サポーターやテーピングも痛みを悪化させる場合があります。


◎シーバー病

かかと周辺のイラスト

踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)」とも呼ばれています。一般的には「かかとの骨の端骨(踵骨骨端核)がはがれたり、その手前の踵骨軟骨(成長軟骨)炎症が起こったりしている状態」と言われていますが、実際にはそうではない場合がほとんどです。
この場合の施術方法は、他の痛みへの対処法と違う非常に特殊なものになりますが、患部を押したときの痛み(圧痛)はその場で改善します。通常、1~2回の通院で終了します。
もちろん、足全体の疲労が根本にありますので、患部だけでなく疲労している下肢を中心に施術します。

◎有痛性外脛骨

「有痛性・・・」という名前からして誤解しやすいのですが、骨の痛みではありません。骨に付着している腱の痛みです。これもシーバー病と同じような種類の痛みなので、手技も同じです。通常1~2回の通院で終了します。患部だけでなく、疲労している下肢を中心に施術します。

◎捻挫

足首に起こりやすい怪我の一種ですが、圧痛や腫れを軽減させると同時に、身体内部からの治癒力を高める施術をしますので、湿布やギブス固定などよりも早い回復が見込まれます。
怪我の直後は内出血を最小限に留めるために患部を冷却するのは正しい処置法です。しかし、その時間は短時間(数分~数十分)で良いです。内出血が止まっても冷やし続けると血行が妨げられ、内部から傷を治すための栄養が届きません。
よく「一晩中、冷やし続けた」というケースもありますが、そのような足を触ると、冷たくて固くなっています。とても回復力があるようには思えません。そもそも、捻挫などの炎症が起きると発熱や膨張などの症状が現れますが、それらは自然治癒のための大事な体の反応です。“炎症の説明(Wikipedia)”
前述の通り、怪我をした直後に内出血を止めるためには冷やしますが、「腫れて熱を持っているから冷やす」のは誤りです。
施術では、圧痛を軽減させ、関節のズレを調整し、血行を良くするなどの方法で回復を助けます。

◎半月板損傷

突発的な怪我により膝痛が起こり、MRI検査などで半月板損傷が見つかることがあります。しかし、半月板には痛みを感じる神経がなく、3分の2には血管も通っていません。血管がない部分への栄養補給は膝の水(滑液)から補給されます。
また半月板損傷は怪我以外でも経年劣化等で起こります。しかし、もともと痛みを感じない組織であるため、損傷しても無症状の場合は多くあります。“無症状膝のMRIにおける異常所見の発生頻度


このことから、怪我をして痛みがあり腫れている状態は、半月板の痛みではありません。多くは膝の捻挫による痛み・腫れがほとんどです。突発的な怪我により半月板損傷と診断された方が手術回避で来院されたときは、まず痛みが捻挫の痛みかどうかを確認します。膝関節のずれから生じる痛みもあります。
一般的に「半月板の内側は自然治癒が見込めないため手術して縫合または切除する」方法がとられます。しかし手術を勧められるような重度の半月板損傷であっても、患者さんの話を聞いてみると、病院での説明との間に矛盾があることに気が付きます。


つまり、「半月板は自然治癒しないから、手術する」といいますが、そうであるなら手術しない限り痛みは変わらないはずです。しかし、来院した患者さんに痛みのピークと今の状態を聞くと、「一番痛いときからはだいぶ良くなっている」と言います。だいたい痛み始めから1~2ヶ月経過している場合が多いのですが、この間にある程度痛みが引くということは、半月板が自然治癒しているということになります。
自然治癒しないはずの半月板損傷の痛みが軽減しているということは、もともとの痛みの原因は別にあると考えても良さそうです。実際にMRI検査による無症状膝の研究では、痛みがないのに半月板が損傷してることが認められています。“無症状膝のMRIにおける異常所見の発生頻度


膝を怪我したので写真を撮ってみたら、もともとあった半月板損傷(無症状)が見つかり、手術を勧められるというケースは多く見られます。また、変形性膝関節症のように、半月板と同じく痛みを感じない軟骨がすり減っているから、人工関節を勧められるケースもあります。有名な整形外科でレベル4の変形性膝関節症と診断された方でも、痛みなく日常生活を送ることは可能です。

その他に、野球肩、テニス肘、ジャンパー膝、肉離れ、シンスプリント、突き指、腱鞘炎等々の施術例があります。実際の施術例は旧ブログで紹介してきました。今後はこのホームページのブログに追加してまいります。


◎当院は医療機関ではないため、医療行為は行っておりません。各種健康保険も適用外です。
◎当院では器具等を使わず、施術者の手による(いわゆる手技療法)によって、骨格の歪みを整えたり筋肉の緊張を和らげたりして血行を促進するなど、自然治癒力に着目した方法により、身体を健康に導くことで様々な痛みや苦痛を改善しています。
◎できる限り少ない回数で改善を図りますが、重症の場合は複数回かかることがあります。